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蓮華座上観音

村上華岳作家解説
1888(明治21年)-1939(昭和14年)
ムラカミカガク
Kagaku MURAKAMI

J-142
蓮華座上観音
レンゲザジョウカンノン
英語 Kannon

制作年:大正時代
サイズ:129.5×27.6cm
技 法:絹本着色

昭和58年度 購入

 村上華岳は大阪市生まれ。京都市立美術工芸学校を経て京都市立絵画専門学校に進み、日本画家竹内栖鳳に師事する。当初は文展を中心に活躍、歌舞伎や文楽、浮世絵、次いで仏教美術に傾倒した官能的人物画を描く。しかし大正7年に文展を離脱、土田麦僊や榊原紫峰らとともに国画創作協会を結成、以後同展にて東西両洋美術の融合を目指した作品を発表する。大正12年には京都から兵庫県芦屋に転居、個展を中心に仏教色の強い神秘的作品を制作した。晩年は震えるような筆致に墨の濃淡や金銀泥を駆使した独自の画風で、山水、花鳥、人物など精神性の高い作品を描いた。
 本作は右手を垂下させ、左手は胸前で蓮華を執って白蓮上に半跏する観音菩薩の姿を描いている。人間の理想像である「久遠の女性」を観音にみた華岳は、多くの観音像を描いているが、淡墨を基調に紫がかった朱線で引かれた体躯や衣紋線、光背や瓔珞の金泥、蓮華に点じられた胡粉など、抑えた色調による本図の描写は、可憐かつ幻想的雰囲気の中に高い精神性をたたえている。落款から《裸婦》などの前半期を代表する作品が描かれた頃のものと考えられ、この時期の華岳仏画の特徴を端的に示した一作といえる。