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「茶の本」ニューヨーク初版本

岡倉天心作家解説
1863-1913
オカクラテンシン
Kakuzo OKAKURA

M-39
「茶の本」ニューヨーク初版本
「チャノホン」ニューヨークショハンボン

制作年:明治39
形 状:書籍

平成17年度 購入

 『茶の本』は、『東洋の理想』『日本の覚醒』と並んで岡倉天心の代表的著作であるだけでなく、日本の近代初期に英語で日本の文化を世界に紹介した、日本を代表する重要な書籍といえる。また『茶の本』が、初版以来世界中で多くの言語に翻訳され、現在もその出版が続いていることからも分かるように、その内容は深い思想と魅力にあふれている。天心は『茶の本』の構想を1904年の秋頃(在米中)から抱き始め、1905年初春にかけて起稿し、1906年初頭頃脱稿したといわれ、1906年の5月にニューヨークのフォックス・ダフィールド社から刊行した。
 その構成は、第1章「人情の碗」、第2章「茶の流派」、第3章「道教と禅道」、第4章「茶室」、第5章「芸術鑑賞」、第6章「花」、第7章「茶の宗匠」の7章に分かれており、その内容は、茶道を中心に日本文化の特色を西欧に向けて説明したものである。茶の歴史、茶室、茶道の作法、茶道における花の扱いなどについて触れながら、「茶の哲学は倫理と宗教にむすびついていて、人間と自然に関するわれわれの全見解を表現している」と茶道の本質的特徴について語り、その思想的背景として、「茶道の理念はことごとく、暮らしのごく瑣末な出来事の中に偉大さを見出すという禅の考え方に由来する。道教によって美学的理念の基礎が築かれ、禅によってそれが具体化されたのである」と、禅と道教の思想を挙げている。また、「日本の茶の湯に茶の理想の頂点」があり、それは「飲む形式の理想化以上のもの」「生の術の宗教」であると、日本の茶道を東洋文明の最高到達点に位置づけている。