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アルバノへの途上の通称サルーテ寺院(「ローマの景観」シリーズ
アルバノヘノトジョウノツウショウサルーテジイン(「ローマノケイカン」シリーズ
制作年:1763
サイズ:40.5×55.5㎝
技 法:エングレーヴィング、エッチング
材 質:紙
形 状:額装
平成11年度 購入
永遠の都ローマの偉容と歴史を熱愛し、古代ローマの建築技術に詳しかったピラネージは、18世紀イタリアを代表する版画家、素描家であるばかりでなく、建築家、考古学者、理論家でもあった。彼が生涯に制作したエッチングは1000点以上といわれているが、古代遺跡に基づくローマのヴェドゥータ(都市景観図)や、エジプトやエトルスクの古代建築図案等を含むこれらの版画作品は、古代都市ローマのロマンティックなイメージを普及させ、新古典主義やロマン主義の基となったとされている。
中でも、ここにあげた作品が含まれている「ローマの景観」シリーズは、「牢獄」シリーズと並んで最高の傑作とされている。考古学的、地勢学的にも優れた本シリーズは、ピラネージの版画作品の基本的な性格と版画技術が集大成されているといえる。本シリーズは135点のエッチングからなり、ピラネージは1748年から約30年かけて没年まで本シリーズの制作に携わった。
本作は「ローマの景観」シリーズの内、Hindのカタログの71番目の作品で、画中には、「ローマから5マイル離れた位置で、アルバノへの途上にある通称健康の寺院と呼ばれた古代の寺院」と書かれている。